血のようにあかい服であなたに会いにゆくよ
くらやみ乙女
暗闇に紛れて会いに行きたいのに。
「なんで、よりによって満月なんだってば」
だって、今から会いに行くの。
会いたくて会いたくてたまらない人に会いに行くの。
やっと行けるの。
だけど、あのひとは、会ってはいけない人だから。
オレは、ここに居てはいけないモノだから。
何も見えないように。
誰にも見られないように。
会いに行くつもりだったのに。
手を伸ばす。
月の光が青い。
オレの腕も髪も全部青い。
まぶしい。
・・・・・ま、いっか。
うん、いいよね。
見えてもいいよ。
見られてもいいよ。
だってオレは、あのひとに会いに行く。
あのひとは、ひどい人でした。
この世の誰より、オレにとって酷い人。
酷いことを言って、酷いことをして、オレを辱しめて貶めて。
涙も懇願も罵倒も憎しみもただ、冷たい鏡に跳ね返されるような、そんな人。
だけど、本当は。
「知ってたってばよ。ずっと」
あのひとは、そうするしかなかったのです。
オレの傍にいるために。
バケギツネのカンシシャとして。
「それでもおまえは、オレと居たかった」
ごめんね。
オレは知ってたのに。
あの時、ぎりぎりの瀬戸際に、初めて手を伸ばしてくれたのに。
オレは、その手を取らなかった。取れなかった。
あの頃のオレは、大事なものが多すぎて。
囚われるものがありすぎて。
心を封じることに慣れすぎて。
だから、あのひとの手を離してしまった。
だけど、それももうオシマイ。
だってもう分かったよ。
オレのしたいこと。
本当に欲しいもの。
オレに、そしてあのひとにとってだけ、大事なこと。
「ここは通さんぞ、キツネ!」
ああもう。
せっかくあのひとに会いに行くのに、ジャマしないで。
歪んだ顔も、何言ってんだか分からないわめき声も、うるさいの。
消えて。
分かったんだ。
行きたい所に行って、会いたい人に会う。一緒にいたい人と一緒にいる。
それがどうしていけないの?
誰かを、みんなを、恨んでるわけでも憎んでるわけでもないんだけど。
でもね。
行きたい所はひとつだけ。会いたい人も一緒にいたい人もひとりだけ。
ジャマをされたら、どいてもらうしかないよね。
「化け物め・・・・」
それの、どこが悪いんだってば。
ああ、これはあのひとの口癖。
誰もなんにも動かなくなってから思い出した。
やっと分かった。その言葉の意味、あのひとの気持ち。
悲鳴は、一瞬。
・・・・・服が、汚れちゃった。
最後に着せられた白い服のままだから、とても目立ってしまう。
一面の、紅。
こんなキタナイの、あのひとはイヤじゃないかな。
今度こそ、アイソ尽かしちゃったりしないかな。
ううん、大丈夫だってば。
あのひと、言ってくれたもの。
オレには紅い色が似合うって。
キレイだって。
たった一度の優しい言葉、ちゃんと覚えてる。
待ってて。
今から行くから。すぐ行くから。
だからまだ、オレのことを待っていて。
・・・・・大丈夫。あのひとは待っていてくれる。
あのひともオレに会いに来てくれている。
だってほら、聞こえるよ。
誰かが叫ぶこえ。
何かが壊れるおと。
なんて濃い、・・・・・血の匂い。
近付いて来る。
胸が高鳴る。
ほら、もうすぐ。
「サスケ」
あのひとが振り向く。
ごめんね。
ずっとずっと待たせてごめんね。
待っててくれてありがとね。
もう、間違えないよ。
この先ずっと。絶対に。
血のようにあかい服であなたに会いに来たよ
だから言って。
今まで一度も言ってくれなかったこと。
ほんとうの、本気の言葉を。
オレに教えて。
オレも言うから。
やっと言えるから。
「だいすき」
だから、おまえも言って。
オレにだけ言って。
サスケ、お願い。
・・・・・痣に覆われた面の中で、闇より昏い瞳が笑う。
ひどく、幸せそうに。
66666キリを踏まれた華乱様からのリクエストです。「オトサスナルコシリアス」相変わらずお待たせしてます。すみませんでした〜。
いっちゃったサスケは書いたことがあるけど、ナルトは初めてかも。サスケは計算づくであっち側に行くんだろうけど、ナルトの場合無意識に越えちゃいそうなので、そのあたりが難しかったです。サスケは書きやすいんだけどねー(笑)。
なんとなく、シリアス部屋の「ひとでなしの恋」の続きっぽい。あれはナルコのつもりではなかったんだが。いやこれもナルコである必要はないんだが(爆)。
タイトルは中島み○きから。歌詞もびみょーに使ってます。
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