あたりまえの虹(DISTANCE-13)



任務は二手に分かれて、20あるポイントの7本目を終えたとき。

次に移ろうとして、サクラちゃんを振り返った。
今日のサクラちゃんは朝から機嫌が悪い。
調子がよくないのかな、と手を差し伸べると、パンっと弾かれた。

「どうして、そんな、優しくするのよ・・」
 サクラちゃん?
「そんな目で見ないでよ!」
それはいきなりだった。
 
「ホントはアンタなんか、嫌いなのよ。」
 サクラちゃん?
「アンタなんか、大嫌いだったのよ!」
 サクラちゃん。
「大っ嫌いよ!」
 訳、わかんないってば。
 大好きで、大好きで、だから、酷いことされても大丈夫だったのに。
 今になって思い出したように痣がうずく。

「サクラちゃん」
やっと出した声は少し掠れてたかもしれない。
「俺は大好きだってばよ?」
 だから、泣かないで?
「あたしはあんたなんかホントは大っ嫌いなの。」
 じゃあ、どうして。
「・・・・サスケ君が、好きなの。」
 泣かないで。今、慰める言葉なんて出ないから。
「サスケ君じゃないと嫌なの」
 そう。サクラちゃん、サスケ好きだったもんね。
「見せ付けたかったの・・気にして欲しかったの・・・」
 うん。サスケの奴相手ならその気持ち、ちょっと分かる。
「ごめんなさい・・・。」
 ううん、きっと、心のどこかで分かってた。
 最初から、サクラちゃんは、ずっとサスケのことみてた。

「・・・駄目じゃん、サクラちゃん」
深呼吸して、俺は今ちゃんと笑えてる?
「ちゃんと、サスケに、好きって、言わなきゃ。」
ちゃんと、サクラちゃんを見て、言わなきゃ。
「俺にしたって、伝わんないよ?」

「俺の大好きなサクラちゃんは、ちゃんと言えるよ。きっと大丈夫だよ。」
サクラちゃんが泣いた。
ごめんっていってたくさん泣いた。
俺はサクラちゃんの髪を撫ぜて、空を見てた。
泣かないようにずっと、空を見てた。
お日様をみると目の中にたくさんのぼやけた虹が見える。
俺が泣いたらサクラちゃんはこまるだろうから、一生懸命こらえた。
だいぶして遠くで飛び立つ鳥の声がした。
「もうそろそろ、合流しちゃう。サクラちゃん、泣き止んで?」
「うん」
「ダイジョウブ、だよね?」
「うん」
いつものサクラちゃん、だ。


サヨナラ。早く気づいてあげればよかった。
サクラちゃんは、サスケじゃないと嫌だったんだ。
そんなこと、分かんなきゃいけなかった。
こんなに泣かせちゃう前に。

サクラちゃんだけが悪いんじゃない。
ごめんね。
俺も同じだった。妬いて欲しいと思ったから。
あのとき、試そうとして、壊れた思い。
サスケに、届かなくて。
「お前のはレンアイじゃねえよ」
そう言われて閉ざした思い。
オンナノコがすきなのがレンアイだって、そういうものなんだって、
だから、サスケは俺が嫌いで当然なんだって。
そう思って、だけど、痣よりも疼いた胸。

「サクラちゃん、俺もね、・・・サスケのこと、好きだった。」
あれは、もう、拒絶された思いだけど。
「あたしも、あんたのこと、ホントは好きだったわ。」
サクラちゃんが、わらった。


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