宿星





どこまでも続くかと思われた城内の長く薄暗い回廊を駆け抜け、いきなり僕らの眼前に広がる眺め。


空中庭園。
栄華を誇る帝国の象徴。それは、詩人に詠われるほどの美しい眺め。
今、花壇には一輪の花もなく。
荒涼とした光景、吹き付ける強い風に、不似合いな青い空。

その奥に王と、魔女ウィンディ。

知らずにやり、と笑みが漏れる。
終わるんだ。
貴様さえ倒せば、全て。

返り血で服を染め上げて、痛みすら感じない。
貴様を倒したら、僕はもうがらんどうだ。
シ−クの谷の情景が脳裏によみがえる。
敵を討ったところで、なにもこの手に戻るものはないのに。

テッド、君がいないと、僕は。

君がいないから、僕は。


壊れてしまう。


だけどもう。
大切なものは何もないから。
終わりにしてもいい。

血で赤く染めた大地を、絶望の黒で塗り替える。
これが正義だと、高らかに嘲笑え。

まるで僕は紋章の一部になったかのように、増大する闇の氾流に流される。
レックナートがおそらく恐れていた、人ならぬ力同士の、ぶつかり合い。


 おおきなほしは、ぶつかりあうと、くだけちって、ひかりさえものみこむやみをつくるんだってさ。

そんなことを、むかし、きいた。


それも、いいな。

ウィンディも、この絶望を望んでいる。
僕の力を取り込もうとする、その女の歓喜は、激しい力で拒絶された。

「何故だ!なぜ邪魔をする!」

シークの谷よりも、もっと強い紋章の抵抗。

瞬間、僕の目の前に。


テッドが、いた。

おとうさんと、オデッサと、グレミオと


紋章の飲み込んだ、僕の、愛しい人たちが。


「おのれ、おのれえ!!」

魔女の前で、
紋章は、
僕が殺してしまった、大切な、人たちを盾に。


紋章が、自らの力を止める強い意志を求めていたことを僕は悟った。
そんなこと、分かりたくもないのに、
紋章を継ぐものを守るために、力が暴走してしまわないように、術者の大切な人たちの魂を掠め取る。
それしか、方法がなかったのだと。

それは、正しいのかもしれない。
こころさえ、なければ。



「テッド・・・」



望んだのは、たったひとつ。君がいる、世界。





なおも紋章を奪い取ろうとするウィンディを王はその腕で留め、共に空たかく舞った。
自決することを、選んだのだ。

崩れ落ちる城。
帝国は瓦解する。








紋章だけが残り、
だけど、そのなかには、君が棲んでいるから。
君が僕を守るから。





僕は、ひとり、旅立つ。







いつも、ゲームやってるとき、ってラスボス相手に「これでさいごだー!」って思いながらやります。
なんたって、睡眠削ってやってるから、もう。殺伐。終わることが目的になってしまう。本末転倒。




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