魂喰らい


なんて冷たくて激しくて暗い、雨。

ああ、こんな天気でよかったな。
「一生のおねがいだよ」
これならば、お前は逃げられるかもしれない。
「こいつを頼む。」
こんなもん押し付けるなんて、ろくなトモダチじゃねえな。
わりいな、ウィンディ。おれは諦めが悪いんだ。地団駄踏んで悔しがれってんだ。
おまえには、サイアクなこと頼んじまうけど。
ひどいことといったらなんせ俺の300年の保証済みだ。
全くなんて奴だろう。
恨んでくれていい。
憎んでくれていいよ。

さよならだ。


「ここはおれが引き付ける」
三百年も生きたんだ。もう死んでもいいんだろう?
俺の役割は終り。・・・そうなんだな、ソウルイーター。
あざ笑うように紋章が光る。
俺達が出会ったのも、紋章を託すのも、運命の女神様、はじめから決まっていたのかい?
だけどもしそうだとしても、運命なんて一言で、俺の気持ちを片づけんなよ。
こちとら、それでも精一杯なんだからさ。
くだらねえほどちっぽけな命でもさ。意地ってもんがある。
なんて、魂喰らいがいえた義理じゃねえが。
三百年生きたって、多分千年生きたって。かわらねえよ。
そんなもんに執着する魔法使いのクソババアにはわかんねえかも知んないけどな。
ホントに俺は変れなかった、呆れるほどかわらなかったよ。

自慢じゃねえがおれは三百年間ただのテッド様なんだ。
それが、たった一つ、俺の誇りなんだ。

相棒、おまえなら多分分かってくれるよな?

いつか思い出してくれるなら。
何もかもがかわっていくようにみえても。
かわれないものはたしかにあるよ。
この紋章が魂の全てを喰らうとしても。



「お願いだよ」


お前しかいないんだ。こんなこと頼めるの。
みんな死んじまったからさ。

ソウルイーター、魂喰らい。禁忌の呪いをお前に託して。

心からすまないと思う。
俺の命で償えるもんなんかじゃないことも。

ごめんな。

だけど、許されるなら。

生きていて欲しいよ。
お前の無事を願わせて欲しい。


魂喰らいのくせに、たったひとつ、お前の生を願う。










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