いつでもあえる
おばけなんて、いないよ。
いたら、夜中起きれないから、絶対そんなのいないんだ。
「俺はまあ、どっちでもいいけどね。」
いてもいなくても、自分には見えないし。
だから、どっちでもいいさ、とテッドが布団の上で伸びをしながら眠そうに言う。
「僕はいないほうがいい・・」
枕を抱えこんでぷう、とふくれると、友人はくっくっと笑う。
グレミオのおいしいご飯につられてやってきたテッドは、今日は僕の家にお泊りだ。
この友人は普段はあまり泊まっていってくれない。
たまに泊まっても一緒には寝てくれない。
「だって、せっかくこんな広い客間があるのに、なんでわざわざ一緒に寝なきゃなんねーわけ?」
だから、こんなふうに僕の部屋で夜更かしして一緒におしゃべりするのは本当に滅多にないことなのだ。
なのに。
「お化けっていると思う?」
テッドのばか。
僕がお化けが嫌いなの知ってて、そういう話を寝る前にする?
心なしか、笑い方も意地悪に見える。
「いないよ。死んじゃったら皆同じ。何にも残んないんだから。」
「それも、悲しくないか?」
「なんで?」
「実はな、俺は死んだらお化けになりたいんだ。」
「て、テッド!?」
思わず声が裏返ってしまった。
「いや、なんせ俺は棺おけに片足突っ込んだ年寄りだからなあ。」
おーい、てっどー・・。
「この年になるとな、冥土の旅路、ってのもそろそろ考えないといけなくてさあ。」
腕組みをして、眉間にしわを寄せて見せる。
「・・・テッドいくつ?」
「三百と十位、で誤差が二十くらい、ってとこか?」
「またうそつくー!」
「いやいや、ホントの話。」
「大うそつきー!!」
どたばたと暴れていると、グレミオが明かりを持ってやってきた。
「坊ちゃん、夜更かしは駄目ですよ。テッド君も。朝起きれないんですから。」
「はーい。」
今度はひそひそと布団の中で話し出した。
「普通、お化けってさ。悲しそうだったり、つらそうだったりするだろ?俺はそういうしみったれたのは嫌なんだ。」
「?」
「どうせなるなら幸せなお化けになりたいわけよ。」
「??」
「死ぬときにさ、痛いとかつらいとか思ってると、そういうお化けになっちゃう訳だろ?
だからさ、おれは、幸せだ、って思いながら死のうと思ってるわけ。」
「それって、お化けなのかなあ・・・満足したら天国にいっちゃうんだよ?」
「・・・俺は、天国へは行けないから。」
「なんで?」
「いやー、話すと長くなるんだがな、それこそまあ、そうだなあ、100年位前になあ、・・聞きたい?」
「もう!いいよ、テッドの馬鹿。」
「ウソじゃないんだけどなー」
「・・・僕、お化け嫌い。テッドが死んじゃう話もヤダ。絶対駄目だから!」
「うん、そうだな・・・」
「だけど」
「うん?」
「もし」
「ああ」
「ひょっとして、万が一お化けになったら、・・・・絶対僕のとこに出てきてね。」
「お前、見えないだろ?それに・・怖いんだろー?」
「怖くないお化けになるって言ったじゃないか。それにテッドなら怖くても僕、我慢する。」
「まあ、努力する。そうだな、見えなくてもさ。見守ってやるよ。」
「テッド・・」
「見てるだけー、だろうけどなー。」
「・・・」
「それにな、ひとつ肝心なこと教えてやるよ。」
にい、と笑って、一言。
「ホントはお化けなんかいないんだぜ、相棒。」
これは、やっぱり、坊怒るでしょうねえ。テッド嘘ついてないけど。
普段のテッド坊はおふざけです。テッドがこんなだから。いじわる。
この純真坊ちゃんがあの黒い坊ちゃんに変わってしまうとは・・・。
(さよ、Uから始めた口だから・・・おまけに、あゆりんの黒坊好きなので、将来はああなる予定。)
グレミオでなくても泣くかも。
幻水の部屋へ