回帰熱 2
新月の闇。
川の水の流れゆく音。
煩いほどの虫の音。
時折吹く風にざわめく木々。
ひどく喉が渇いて目覚めたもののまだ夜は深く。
皆を起こさないようにそっと宿屋を抜け出す。
水音に呼ばれるように
あるいはなにかに惹かれるように
僕は足元さえ見えない暗い道を辿る。
その向こうに、微かに人の気配。
「あ」
(僕?)
闇に慣れた目にうつるのは黒髪に緑のバンダナ、トランの服。
川べりで佇んでいた少し細身の少年がこちらを一瞥する。
「・・・」
その身のこなしは優雅であったけれど
ひどく物憂げで
全てをみているようで
何もみていないような
ひどく遠い目をしていた。
「・・・あ、」
(僕じゃ、ない。)
まるで似ていないのに。なんで僕に似てると思ったんだろう・・?
「あなた、は・・・?」
「・・・きみは・・・?」
二人同時に発せられる声。
不意に衝撃に喉が詰まる。
(この人だ)
「どうしたの・・・?」
見つめる瞳も。少しだけかすれたよく通る声も。
(この人を探してたんだ・・・!)
108の星よりも。
ナナミよりもジョウイよりも。
だれよりも、近い。
僕はこの人を、探していた。
焼け付く様な思いを、だけど言葉にする事はできなくて。
どこか異国の面差しを持った少年の、闇よりも深い瞳から目を逸らすこともできずに。
ようやっと、口にしたのは、間の抜けた問い。
「・・・あなたが、トランの英雄ですか?」
ゲームで坊ちゃんに会えた時は嬉しかったなあ・・・。
さて、これでやっと、あゆりんの黒坊設定とクロスしましたv
そしてこの話、実はまだ続く予定。
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