窓の外には雲が低く垂れ込めている。
晴れることのない空だが雲一面が赤く染めあげる事で今が夕方であることを告げていた。
何重もの結界の札を貼った窓を背にナルトが立つ。

「大した事ないってば。」
そういいながらめんどくさそうにシャツを脱ぐと血と泥を洗い流したばかりの体に残る傷跡。

サスケはその傷を見て、或る事に気付く。
「傷は・・・治らないのか・・・?」
今日の戦いでできたのだろう新しい傷だけでなく、かなり前と思われる傷からも薄く血が流れていた。
赤く、痛々しいほどに、生々しく。
「・・・うん、雑魚のは消えるんだけどさ、ボスキャラって言うの?封印された九尾のつけた傷は、なんでだか治んないんだって。
 だから、あんま怪我すんなって、いわれた。」
風呂入るとしみるんだ、と茶化して見せようとして、笑わないサスケに戸惑う。

封印が化け物の力を削ぐ。
しかし、それは皮肉にも今まで自分を守ってきた驚異的な治癒能力も失うのだという。
禍々しい毒を放つ傷に体力を失いつつあることを感じていた。
それは、もちろんサスケに言うつもりはない。
「いや、あのさ、その、大したことねーし、平気だって・・・」
「平気じゃねえだろ!薬くらい・・・」
「無駄だって。いいってば、もう慣れたしこんなの位で・・」
「・・・」
「な?」
顔を覗き込んで大した事ない、と笑う。
「傷、見せろ・・」
そういうと、サスケは『傷ひとつつけるんじゃない』、といわれた意味を考えてぞっとする。

「なんだよ!」
赤い、赤い血。
こいつは、いつだって死んでしまえる。
こいつを失ってしまう。
そう思うとたまらなくて。腕に掻き抱く。

かちり。
上着を脱いだ腰に回した手が何かに当たる。
「あ」
ナルトがポケットから出したのは、かつてサスケがナルトにあげたお守り。
うちはのよび笛。
「・・・おまえ、呼ばなかったな、そういや。」
「何度か吹こうとは思ったんだけどさ。」
「呼べっていったろう。」
「・・・・もういいじゃん、おまえ来たんだからさ。」
「なんでおまえは俺に助けを求めない。」
「・・・・・・・」

「・・・ひとりで死ぬなんて許さない。」

「サスケ、でも・・・おれは、お前に幸せになって欲しいんだってば。だから・・・・」
俺が死んでも。
もしそのときに悲しくても、いつかは忘れるだろうから。
忘れてくれるだろうから。
一族を失ったお前が俺を選んでくれたのと同じように、
俺を失ってもいつかは誰かと生きていけるだろう。
それは酷く寂しい事のようでそれでもおそらく事実で。

「だから、何も言わない?てめえはちっとも分かっちゃいない。」
「・・・なんだよ!だって・・・もう、あの時みたいにお前が死ぬのやなんだってば!・・・・」
波の国のあの時の。張り裂けるような。自分が壊れてしまうような痛み。
「なら、俺の気持ちも分かるだろ・・・?」
目があった。まっすぐに見る真摯な瞳に答えられず沈黙する。







「・・・・・おれ、サスケの傷も、みたい。」


溜息をつくとサスケはシャツを脱ぐ。
背中から肩に走る裂傷。
「それこそ大した事ねえよ。・・・しくじっただけだ。」
鋭利な傷はけして浅くはない。
顔色も声音も変えず、けれど滲む血。
背中にはかつて自分を庇ったときの千本の傷跡が痛々しい。

背中の傷を薬をつけた指で辿り、ぎゅう、とナルトはしがみつく。
いつも、何も言わず。
自分を庇って出来る傷に。

「サスケ、ごめんな・・・」
泣きそうになって。
「何度も言わせるな、大したことじゃない。
 俺は、やりたいようにしてるだけだ。だから、お前が気に病むことはこれっぽっちもねえんだよ。」

「サスケ。」
いっつもぶっきらぼうで、えらそうで、無愛想で口が悪くてほんっとにヤナ奴で
・・・・・だけど、好きだと、思う。
俺がいなくなったらきっとサスケは泣いてしまう。
それだけが悲しい。
だから、生きていたい。
「・・・サスケ・・」
目を合わせると、ゆっくりと口付けた。

「・・・・いいのか?」
そういわれて、もう一度、唇を重ねる。
自分の心臓の音が聞こえる。

こんなにも、好きになってしまった。
愛しくて、愛しくて、・・・・だから離れようと思ったのに。


サスケは何もいわないけど、だけど、だけど、きっとサスケも。







俺は、里人にとってただの「容れもの」。それでもこの贄となった身に生を願えるものならば。





ただひとりのために。














長い事書いてなかったのでなんだかいまいちイメージがわかないわー。
・・・・・・・いつ終わるんだろ、これ。(さよ)

こんなシリアスな話にこーゆー感想は顰蹙かもしれないが。・・・・誘い受?
ちなみに初Hらしいです。よかったね、サスケ。(笑)
(あゆりん)



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