草
カブト兄ちゃんってすごいんだ。
いっぱい知ってるんだ。
何でも知ってるんだ。
すっごく頭よくって、すっごく優しくて、だから。
「カブト兄ちゃん、大好き」
ぎゅっと手をつないだまま、歩く。
今はサクラちゃんとサスケは、食料とか水とかの準備をしてて。
俺とカブト兄ちゃんで、応急処置とか、解毒に使う薬草を集めている。
この試験の期限が近づいてて急がなきゃいけないけど。
ちょっとだけ遠足気分。
「この草に触っちゃいけないよ」
歩いてるとそういって、腕を取って引き戻された。
「なんで?フツーの草じゃん」
「そう見えるけど、小さな棘に強い毒をもっているから。」
触ると小さな傷をつけ、そこから熱を出すのだという。
「気付かないうちにね」
「死に至る事もあるんだよ」
カブトの兄ちゃんはそういって、腕の中におさまった自分に笑いかける。
「こんなのはじめてみるってば」
だけど、自分が見たとしても気づかないような、ごく普通の、草。
カブト兄ちゃん、何でも知っててすごい。
「うちじゃ薬に使ったりするからね。」
両腕の中にすっぽり収まってしまった自分。
居心地がいいのでじっとしてる。
そういえばこんな風にぎゅってするの、中忍試験の前にカカシ先生に飛びついて以来。
「きみは小さいね」
上から覗き込むようにカブト兄ちゃんが言う。
「おっきくなるってば!・・・そのうち」
見上げながら答えると、不意に顎をとられ、唇を奪われる。
「・・・・んっ・・」
「暴れると、棘にささっちゃうよ。」
「・・・って」
そんなの、構うもんか!こんなの・・!
さらにもがくと。
「忘れてはいないと思うけど」
「・・・」
「僕達は敵同士なんだよ」
もし、刺さっても助けてなんかあげないから。
そんなこと言うなんて。
どうしたらいいのか分からなくて、なんで、って見上げると。
笑って、それから腕の力をゆるめて、笑った。
「今の正解はね」
「僕を突き飛ばせばよかったんだよ。」
カブト兄ちゃんはときどき、分からないことを言う。
だって、突き飛ばしたら兄ちゃんに棘が刺さる。
「・・・できるわけないじゃん。」
そういって、腕を払いのけて、走り出した。
もう、薬草はそろったから。
「行こう!サクラちゃんたちが、まってるってば!」
それに急がないと、サスケがまた怒るってばよ!
棘に刺さらないように草を取り、そっとしまうと、彼はナルトの後を追った。
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