「すっげー甘い匂いがするってば」
金色の子供が嬉しそうに目を細める。
「・・・・・」
闇色の子供は眉を顰めて黙り込む。
・・・反吐が出そうだ。
金木犀
ふわりと風が吹く。
小さな花弁がひらひらと舞い落ちる。
醜悪な程キツイ芳香をまき散らしながら。
花びらは薄い橙に地面を染め、木の根元で眠る子供にも、また。
「ナルト」
そっと呼ぶオレの声にもぴくりとも動かない。
金色の髪に、白い肌に、後から後から降り積もる花びら。
吐息がかかる程の距離まで近付けば、微かに髪が揺れて。
強くなる甘い香り。
柔らかな頬にそっと舌を這わせる。
甘い。
他の場所はどうだろう。
額、鼻の頭、首筋、手首、唇・・・全部甘い。
「さ・・・すけ?」
ようやくといったカンジで目を開けるおまえ。
不思議そうに見上げてくる青い瞳。
とろけそうに甘い。
だけど、それだけじゃないだろう?
甘い甘い香りの底には何がある?
狂った男が血族を殺し尽して消えた後、旧い屋敷に残されたのは。
拭い切れない血の跡と、金木犀の甘い香り。
噎せ返るような芳香の奥に隠されているのは、どろどろに腐った血のにおい。
魔が住んでいるのは、桜の木の下だけじゃない。
おまえも隠しているんだろう?
禍々しい何かを、その中に。
だから、オレが暴く。
「やだ・・・い・・やぁ・・・」
切れ切れにすすり鳴く声。
頬を滑る雫。
逃れるように地面を引っ掻く指。
そこだけ別の生き物のようにオレを締め付けるナカ。
目眩する程甘い。
飛び散った白い液体を舐めてみる。
こんなものまでが。
おまえ、オカシイ。
どこもかしこもアマイモノでできてるなんて。
そんなこと、あるわけない。
「も、やめっ・・・!」
もっと深く、もっと奥まで、そうしたらきっと分かる。
誰よりも甘いおまえの中には、誰よりもみにくい何かが隠れてる筈。
暴いてやる。絶対に。
断末魔の高い叫び。
人形のように投げ出された四肢。
極まって細かい震えを繰り返す身体。
そして
おまえの全身から蜃気楼のように立ち上る気。
なんておぞましい、チャクラ。
「ナルト」
見開かれたままの瞳は滴り落ちる血の色の紅。
オレを映してにたりと笑う。
みつけた
嫣然と笑うおまえが、オレの首に腕を回す。
重ねられる唇は毒のように甘い。
やっぱりおまえ、キレイなだけの生き物じゃない。
あの男と同じに
このオレと同じに
いや、それ以上に
おまえの内に潜むモノは遥かに昏く禍々しい。
だけど、何故だろう。
それがとても嬉しい。
震えるくらい嬉しい。
隙間なく肌と肌を重ね合わせて、一際匂い立つ香りにオレは酔う。
多分これは麻薬。
一度味わってしまえば抜け出せない、死に至る劇薬。
・・・それでもいい。
何よりみにくいおまえは、何より甘い。
私の中で黒サスケとは、ナルトの全部を暴いて手に入れるためなら、どんな手段(主にえげつない手段)も厭わないサスケさんのようです。しかも独り占めできれば、ほかの事はまったく気にならないらしい。心広いんだか狭いんだか(笑)。
実は最初考えた時はギャグの予定でした。「いいにおいだってばー。これってトイレの芳香剤のにおい?」「・・・このウスラトンカチ」みたいな(笑)
何でこんな話になったんだか。
鬼畜かと思ったらトイレの芳香剤・・・あゆりん・・・・君が分からない。(さよ)
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