ひとつの賭けをした










 メリッサ










 (万華鏡写輪眼を開眼するには)
 あの男を殺すためには。
 (親しい友を殺さねばならない)
 そんな奴はいない。





 あの男には、親しい友はいなかった。
 その代わりに選んだのは、同じ血を持つ一族。
 情の欠如を数で補い、殺し尽くした。
 オレにはそんな必要はない。





 オレは代わりを持っている。
 失えば狂わずにいられない、
 二つとない極上の、代わり。
 オレだけの。






 「サスケェ!!」
 おまえが来た。
 おまえはとうとう、オレを追ってここまで来た。
 手加減なしにオレを殴り、襟首を掴んで糾弾する。
 それで元に戻れるつもりなら、やっぱりおまえはウスラトンカチ。
 オレの大事な、何より大事なウスラトンカチ。





 オレに触れるおまえの手。
 オレの名を呼ぶおまえの声。
 二度と感じることも聞くこともないつもりでいた。
 そうなればいいと、望んでいた。
 だけどすべては今、オレの前にある。
 ぞくりと、背筋に走る何か。
 怒りか苛立ちか後悔か、それともいっそ歓喜なのか。
 もう、どれでもいい。





 真上からオレを見下ろす青い瞳。
 必死に、縋るように、くしゃくしゃに歪んだ顔で。
 まっすぐに、オレだけを。
 こんな光景を、いつかも見た。
 あの時、あの波の国で見た。





 (おまえなんか大嫌いだったのに)
 おまえが、大嫌いだった。
 そうでないといけなかった。
 おまえはいつか、オレをあの男と同じものにする。
 初めて会った時から分ってた。
 いなくなってしまえと、何度も思った。
 だけど、あの時。
 死の針がおまえを貫こうとしたあの瞬間。
 オレが考えたことは。





 (間に合え)
 (おまえは死ぬな)





 殺させない、絶対に。
 なぜなら
 ナルトは








 おれがころすから
 







 
 あの時も、ひとつの賭けをした。
 おまえの膝の上で、意識を闇に溶かしながら。





 もう一度、目覚めたら。
 目覚められたなら。
 オレは、おまえを愛するだろう。
 誰より何より愛するだろう。
 そしていつか、オレはおまえを





 (サスケ、すき)





 なのにオレは少しだけ、
 ほんの少しだけ、おまえを愛しすぎて、求めすぎて、溺れすぎて。
 だから二度目の、そして最後の賭けをした。






 オレは逃げる。
 おまえの命に依らない力を手に入れるために、最悪の手段を選んで。
 オレはおまえから逃げる。
 だけどもしも、おまえがオレを追いかけて来たら。
 オレを止めようと追いついて来たなら。
 その時、オレはおまえを









 



 ゆっくりと手を伸ばして、おまえに触れた。
 白く柔らかな頬にオレの血だけがぽつんと赤い。
 乾きかけたそれを指でなぞると、まるで醜い傷のようにおまえを彩る。
 おまえが悪い。
 生き延びて目覚めたオレが、引き寄せた手を。
 オレを追ってきたおまえに、未練がましく伸ばした手を。
 振り払わないおまえが悪い。





 オレを掴むその指を、いっそこの首に回せばいい。
 そうすればオレはもう、おまえの望まないものになりはしない。
 オレはもう、オレの望まないことをしなくていい。
 そうしないおまえが悪い。





 細い首は締め上げるのに丁度いい。
 力を込めれば、小さな呻き声。
 愕然と、それでも信じたいとオレを見つめる瞳。
 もう遅い。
 おまえはここに来てしまった。
 オレは追いつかれてしまった。








 おまえを殺したくない。
 あの男と同じものになりたくない。
 そう願ったオレもまた、真実。








 すべてを無にしたおまえが悪い。








 「オレの夢は未来になんかない」

















 オレは賭けに勝ったのだろうか。





 それとも




















 あまりにもWJ的というか、めっちゃお約束な設定をかましてくれたので、つられてもっとベタな妄想をしてしまいました。ありがちだし先走りすぎだけど。イタチ兄、きっちり友殺しもこなしておられるかもしれないしな。
 ま、時事ネタは勢いで書いちゃえってことで。次のWJが出たら(って来週休載だっけ)、読み返せなくなると思われる。だってサスケ、かっこつけて色々言ってても、返り討ちに合うに決まってるし。
 他サイト様の感想を拝見してると、皆様「サスケの友達らしき存在ってナルトしかいないだろ」と断言されてて、すげー楽しかったです。私もするけどさ(笑)。ほんっと友達いないよね、奴は。
 「友達?誰が?」とナルトにあっさり言われて傷つくサスケってのもちょっと見たい。いっそそれで逆ギレしてくれてもいいが。
 タイトルはポ○ノグラフティのあの曲。中身とはさほどリンクしてないけど、他力本願で被害者意識強そうな所が非常にサスケっぽいので付けてみた。
 しかし去年といい今年といい、サスケって夏コミ直前に色々とやらかしてくれるので、オフをやってらっしゃる方は大変だろうな。
(04.07.23)




戻る