にんじん
「サスケ、俺のことすき?」
あのなあ。
「・・・・嫌いじゃ、ねえよ。」
これで精一杯。
「それって、”まあまあすき”ってこと?」
不満そうだ。
それ以上は言わせるな。
正直、困ってしまう。いえないのだ。
目の前のこいつは食べ物のように、人を好きと嫌いに分けてしまう。
そして。にんじんの好き嫌いのように人の前で言えるのだ。
「さすけ。大好き。」
そして、おまえは?ときいてくる。
好きな食べ物、なら言えても。
目の前のやつに、好きか嫌いかなんて、いえるか。ウスラトンカチ。
「・・・口に出せるほど好きじゃないんだ。」
そうじゃねえよ。きらいじゃねえって、いったろ。
「いいけどさ。おれだって。イルカ先生とか、カカシ先生とか。好きだし。」
みてりゃわかる。
「サスケが嫌いでも、いいってばよ」
きらいなんて、ひとこともいってねえ。人の話し聞けっての。
大体お前こそ、と思う。だれにでも、やさしくされりゃすぐついていく。
俺とけんかすれば、すぐ他のやつのところにいて。
なんで、うまく伝わらない。見ててなんで、わかんねえんだよ。このドベ。
俺なりに、態度で、ちゃんと示してる。(まあ、伝わってはいないだろうが。)
「さすけ、きらい。」
去っていくのは、追わない。また、来るのはわかってるから。
「さすけすき」「さすけきらい」「さすけのばか」
って、毎回のことだから。
あいつはおれがすきだから。
そんなんで、おれがいなくなったらどうするんだ?
いや、それよりも。
あいつがいなくなったら、俺はどうなんだろう?
あいつは誰か他の奴に甘えてなついて。
だけど俺にはあいつの代わりなんていやしないから。
自分のほうが、こたえるかもしれないな、と苦笑した。
戻る