Restless





閉じ込められた。冷たく深い闇の中。深い洞窟。
それは事故ではなかった。
不意に後ろから殴られて、気付いたらここにいた。
バケモノメ・最後にそう聞こえた吐き捨てるような声。
全身が水にぬれて冷たい。ぞくりとするのはそれだけではない。

ここはおそらく自然にできた洞窟。そして、幽閉するには格好の場所だった。
広い、大きな空洞。足元は膝までの水。
上れない傾斜の高い天井に空は見えず。生き物もいないようだ。
叫んでもどこへも届きそうにない。
もっとも、助けを呼ぶ気もなかったが。
そんなものが、かなったことなんてない。
いまさら、それを恨む気はないけれども、だけど。
自分が化け物だってのは、それは、もういい。
そうしなきゃならなかった。そういうことだろうから。
だけど、それでも、今の自分は化け物じゃなくてちゃんと「うずまきなると」なのに。
どうして、認めてくれないんだろう。

そういえば、この間。
十分強くなった。そういって、そのあと、イルカ先生が顔を曇らせた。
「あのなあ、ナルト」
こんなこと、いいたくないんだが、といって、しばらくの沈黙の後、言葉を続ける。
「お前が強くなることを快く思わない奴らもいる。」
どきりとするが、明るくかえす。
「それってば、シット?」
「・・・九尾が出てこないか、連中は怯えている。」
気をつけろ、といってた。そういえば。
でも。
でも強くなったのは一生懸命がんばった俺で。
九尾じゃ、ないってばよ!

認めてほしくてがんばるのに。
周囲の目は以前より険しくなった。
「アイツハヤッパリバケモノダカラ」
聞こえない振りをして。
ねえ。でもどうして、そんなこと、いえるんだってばよ。

理不尽さに悔しくて、ふと、涙が出た。
このまま、いなくなっちゃっても、きっとだれも分からない。
イルカ先生は泣いてくれるだろう。あと、幾人かも。
カカシ先生や、木の葉丸や、サクラちゃんに、あと・・・サスケは泣きそうにないなあ。
「・・・・ふざけんな、っての。」

「おれは、うずまきなるとだってばよ。」
まけない。九尾にも。
誰にも負けてなんかやらない。絶対。

わざわざ運んだだけのことはあるな、と思う。出口は見つからない。
ひょっとしたら塞いでしまったのかも知れない。
自分が死んでも九尾がでてくるかもしれないのだから。
火影のじっちゃんなら助けてくれるだろうが、あの水晶に映らない場所かもしれない。
クナイなどは取り上げられたらしく、持っているものと言ったら。
(チョコレートとかあんことか、いれとけば、よかった、ってばよ。)
探る指に何かが触れた。指でたどると小さくて冷たいそれは。
「やっぱ、へんなかたち。」
思わず口にでた。まえに、さすけがくれた。おまもり。
そのまま、持ってたことも忘れてた、なんて、サクラちゃんに分かったら殺されてる。
そうっと手に持って、微かに口にあててみる。
どう吹くのか良く分からない。うまく吹けずに音がしない。
「こわれてる、ってばよ!」
そういって、自分がサスケに助けを求めた、ということも気恥ずかしくて、悪態をつく。
ぶんぶんと首を何度も横に振って。大きく息を吸って。
気を取り直して、チャクラを足に集めて壁や天井を歩き回る。
だいぶ歩いたが、やはり出口はない。
残るは水の中だが、下手をすれば挟まったりでかえって危険かもしれない。
思い切って、潜る。だが、明かりのない暗い水の中では、どこへ行けばいいのか分からない。
何度かやって、やはり出口は見つからない。
ずぶぬれで、寒くて、体力もかなり消耗した。
(少し、休もう。)

休めるところを手探りで見つけて。膝を抱いて、うずくまる。
(さすけのばかたれ・・・。)
だれかにあたりたくて。
「・・・・さすけのばかーーー!!」
大声でさけんでみた。残響がはねかえる。ばかばかばかばか・・・・・・ちょっとすっきりした。
「・・・だれが、ばかだ」
ゆらり、と目の前の水の中から、黒い物体が。
「!!!!」
声も出ないほど、びっくりした。
それは、サスケ、だった。明かりが、薄くあたりを照らす。
「ななななななな」
「なに、こんなとこで遊んでんだ。」
「ど、どどどどど」
「おまえが、呼んだんだろ。」
ずいぶんおそくなっちまったな、といって、サスケが手を差し出す。
ここは、水の中からしかこれないが道が難しい、とサスケが言った。
昔一度、きたことがあるとも言った。
なにしに、とは聞けなかったが。

「ふえ、壊れてたんじゃ、なかったんだ。」
「ああ、馬鹿には聞こえねえんだよ。」
「サスケって、どうしてそう・・・。」
ありがとうっていいたいのに、いつもこいつは。
だけど、来てくれた。
「お前が一番捕まりやすいし、使いでがあるとはあるとはおもったんだよな。」
「・・・わるかったな。もうよばねえよ」
「馬鹿、呼ばなきゃ意味がねえんだから、これからもちゃんと使えよ。」
「・・・」
「いつだって、助けに来てやるよ。」
そして帰るぞ、といって、手を握った。





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