サスケの手は、オレよりちょっと大きい。
指も、オレよりちょっと長い。(ホントにちょびっとだけだかんな!)
そんでもって、触るとちょっとひんやりしている。
だから親切なオレがあっためてやるんだってば。ありがたく思えよ?
・・・って言うと、返ってくる反応はいつだっておんなじ。
すっげー嫌そうな顔して、むうっと黙り込んで、いかにも渋々ってカンジで、
「ほら」
そっぽ向きながら、手を差し出してくれるんだ。
きみのてのひら
「・・・なあサスケ、サスケってば」
何度呼んでも返事もしてくれなくて、ずんずん歩いてく見慣れた後ろ姿。
腹が立つから、こっちも無視して放っておこうと思っても、それってば無理。
だってオレの左手、ずっとサスケに掴まれたまんま。
「ちょっと待てってばよ・・・うわっ!」
怒鳴ってやろうと早足になった途端、不意にサスケが立ち止まった。
だけど、勢いづいてた足はすぐには止まれるわけなんかなくて、思いっきりサスケの背中に鼻をぶつけてしまう。
もう、何だってばよ!
何でいきなり止まるんだってば、ハタメーワクな奴!
「・・・どんくせえ」
「おまえ、絶対わざとだろ!」
右手で鼻を擦りながら文句を言うと、ふふんといつものイヤミったらしい顔。
どーでもいいけど、何でこいつ、こんなにムカツク顔得意なわけ?!
「おまえが待てつったんだろうが」
「今まで無視してたくせに、おまえホントヤな奴! ・・・もーいいから、いーかげんこの手離せってばよ」
「何で」
「な、なんでって・・・」
「手、握れつったのはおまえの方だろうが」
口籠るオレに、サスケは思いきり不機嫌そうな顔をした。
「言い訳あるなら言ってみろ」
なんてインケンな目付きで睨まれて、オレは首を竦めた。
どうしようかなあと思ったけど、なんか言わないといつまで経ってもここに立ち止まったまんまっぽいし、手も握ったまんまだし、それはちょっとヤバイ。
「・・・もう街に入ったし、人がたくさんいるってばよ。目立ったら困るってば」
さっきからずっと通りがかる人達みんな、オレ達を見てる。
別にさ、オレはいーの。
それまで笑ってた人が、オレのこと見るなり顔ゆがめて、目ぇ背けてわざわざ遠回りして行くのなんて、慣れてるし。
だけど、今はオレだけじゃなくて。
オレに向けられるのとおんなじ目、サスケにも注がれてる。
こんなあからさまな視線こいつが気付かない筈なのに、知らないフリしてやっぱりオレの手握って離さない。
「見られたからどうだってんだ。他人は関係ねーだろ。握れつったり、離せつったり、自分の言動くらい一貫性持てよ」
「だって」
だって、手を繋ぐのは好き。
オレが触っても嫌じゃない、オレのことキライじゃないってシルシみたいだから。
伸ばした先に誰かの手があって、握り返してもらえて、おまけにそれがサスケの手なんて、時々ウソみたいって思うけど。
でも、ずーっとはダメなんだ。
オレじゃなくって、サスケがダメなんだってばよ。
サスケ、いつもはあんまりたくさん手、繋がない。
オレが手を伸ばすと断った事はないけど、すぐ暑いとかうざいとか言うし。
ぎゅうって力一杯握ると、すっげー慌てて振りほどいちゃったりして。
無表情に照れるのが面白くて何度も同じ事繰り返すと、怒ってケンカになることも結構あった。
だから安心してたのに。
何でサスケ、今日はずっと離してくれないんだろう。
困るってばよ。
すっげーすっげー嬉しいんだけど、困るんだってばよ。
「だっておまえ、こんなじろじろ見られるの嫌だろ? オレだって、ちょっとはおまえに悪いなあってエンリョする事くらいあるんだってば」
「悪いっつーなら、こんなトコでいきなり手を離す事の方が悪いだろう」
「は?」
「オレは、その方が嫌だ」
きっぱりと。
めちゃくちゃきっぱりとサスケはそう言って、じっとオレを見る。
サスケの瞳。
ふかいふかいまっくろなそれを、冷たいと思った事があるなんて信じられない。
触れ合うてのひら。
いつもひんやりしてるのに、今は少しだけ熱い。
「サスケ、もしかしてオレと手、繋いでいたいわけ?」
精一杯冗談めかして笑ったら、サスケはムッとしたみたい。
怒ったように口をへの字にして、いきなり歩き出した。
「だったら悪いか、ウスラトンカチ」
オレの手を握ったままで。
サスケの手は
オレよりちょっとだけ大きくて
ちょっとだけ指が長くて
ちょっとだけひんやりしている。
だけど、誰より何よりあったかいと思う。
今までも
今も
・・・これからも?
「・・・じゃあさ、もうちょっとだけ、繋いでやってもいいってばよ」
小さい声で呟けば、返事は返ってこなかったけれど。
手にぎゅっと力がこもったから、オレも精一杯握り返した。
何でかな。
少しだけ、泣きたいような気持ちになった。
後ろ向きでごめんなさい。
ホントは、明るくて一所懸命でがむしゃらなナルトが好きです。壁にぶちあたったらけちらかす!くらい勢いないとナルトじゃねーよ、とすら思うんですが、どうもそーゆーキャラだとシリアス系書けないみたい。
つか実はシリアスにするつもりはなかったんです。書き始めはほのぼのつもりだったのに、いつのまにやら「あした」に通じるような話になってしまったので、シリアス部屋にぶちこんでしまいました。
今回のサスケ、「ぶっきらぼうで優しい」とゆー少女マンガの黄金パターンを狙ってみたのですが、これも玉砕っぽいし。ふう。(あゆりん)
なんとなく「まもってあげたい」(ユーミン)ってかんじだねー。いや、今回ナツメロなかったから。(さよ)