So What?
ぱたぱたと殆ど小走りになりながら、ナルトは前を行く黒い背中を追いかけた。
子供の軽い足音はひどく無防備で、おまけに気配もまるきり消していないから、その団扇マークの背中の主がナルトに気付いていない筈がない。
なのにちっとも振り向く素振りはなく、むしろ段々歩く速度を早めていく奴との距離は離れていくばかり。
「なあなあサスケ、サスケってば」
たまりかねたような呼びかけにも、サスケは足を止める素振りすら見せなかった。
むうっとナルトは唇を噛む。
完璧なまでのサスケの無視には、実の所理由があって、その原因が自分にあるということはナルトにも分っている。
何しろ今日のナルトは一日中サスケに貼り付いて、とある質問を繰り返し続けているのだ。
最初はサスケも、そんなもんどうでもいいだろと、素っ気なくも返事をしていたが、そのうち何も言わなくなった。
確かに、任務中は言うに及ばず、解散後夕飯の買い物にもくっついて回られ、ようやく帰宅の途についている今に至るまで延々と同じ問いを繰り返されたら、誰だって嫌になるに違いない。
(だって、サスケが素直に言わないから悪いんだってば)
だけどナルトにしてみれば、それがそんなに嫌がるような質問とも思えない。
もっと軽くさらりと答えてくれると、正直たかをくくっていた。
うちはサスケは、ひどく無口な上に一度口を開けばイヤミばかり言うヤな奴だけど、それでもナルトが話しかけた時に無視したりはぐらかしたりすることはなかったから。
だからだと思う。
こうなったら何が何でも答えさせてやる、とムキになってしまったのは。
自分を無視して見ようとすらしないサスケを、今までで一番ダイキライだと思ってしまうのは。
「待てってばよ、サスケ!」
叫びざま、ナルトは背後からサスケにタックルをかけた。
片腕をサスケの首に回し、もう片方の腕もその胴体に回して腹辺りのシャツをぐっと掴む。
衝撃にぐらりとよろめくサスケの右手で、スーパーの袋がガサガサと耳障りな音をたてた。
「ナルトっ………!」
さすがのサスケも突然の攻撃に驚いたのか、その声は微妙に上ずっている。
ひどく焦ったようにナルトの身体を振りほどいたサスケは、途端にじろりと睨みつけてきた。
「しつこいぞ、てめえ」
嫌味なくらい整った面を思い切り顰めたその様は、そりゃもう凄味があって、小さな子供が見れば泣き出しそうなものだったけれど。
それを向けられたナルトはこれっぽっちも気にせずに、むしろ満面の笑みを返した。
やっとサスケを振り返らせることができて、むしろバンザイと叫びたいくらいだ。
「あったりまえだってば。絶対諦めないのがオレの忍道だってばよ!」
迷惑だ、とサスケの胡乱げな瞳ははっきりと告げている。
時と場合によれば賞賛されるべき信念かもしれないが、こんな状況で発揮するなと。
「付き合ってられるか」
「あ、ちょっと待てってばよ。………うわっ!」
再び立ち去ろうとするサスケにナルトは慌てて追い縋ると、今度はその右腕を掴んだ。
振り払われはしなかったけれど、サスケはまったく足を緩めようとしなかったから、ナルトはバランスを崩して倒れこみそうになる。
反射的にサスケがナルトの腕を掴み返して支えてくれなければ、地面と仲良くする羽目になっていただろう。
「……………ウスラトンカチ」
「う、うっせー、おまえが人のこと無視して行っちゃうから悪いんだってばよ」
「オレの意志を無視して下らないことを訊いてくるからだろうが」
「くだらなくないってばよ。だってサクラちゃんが、あーんなに気にしてるんだから」
ぷうっと頬をふくらませるナルトに、ますますサスケの眉間の皺が深くなる。
これは単なる地顔ではなく本格的に機嫌を損ねたしるしであるのだが、ナルトは気付かない。
「だから早く、おまえの好きなタイプを教えろってば!」
しん、と沈黙が訪れる。
何も言わず、感情の見えにくい黒々とした瞳でただじっと見つめてくるサスケに、居心地が悪くなったナルトがとにかく何か話そうと口を開きかけた時、
「おまえ、馬鹿だろう」
サスケの返した答えは、一見疑問形にも聞こえるが、その実、思いっきり語尾を下げた断定口調。
おまけに、いかにも呆れたと言いたげな冷たい視線まで付いてきた。
「いきなり何だってば!」
「馬鹿だから馬鹿なんだ。おまえ、サクラが好きなんじゃなかったのか」
「おう、大好きだってばよ」
胸を張って断言するナルトに、サスケは一瞬言葉に詰まったようだった。
が、ナルトの、だから何だという視線を受けて、渋々ながら口を開く。
「好きな相手が別の奴の好きなタイプなんか気にしてて、何で平気なんだおまえは」
「どういうことだってばよ?」
意味が分らなくて首を傾げるナルトに、サスケの表情が一層剣呑になる。
「その時点でおまえは対象外ってことじゃねーか。しかも自分から協力なんかしやがって」
「だって、それとこれとは別じゃんよ」
「別ってどういうことだ」
ひどく苛ついたように、今度はサスケが問い返す。
本気で怒っている気配を感じ取って、ナルトは反発するよりむしろ戸惑った。
「だって、オレがサクラちゃんが好きなのと、サクラちゃんがオレを好きじゃないのは、関係ないってばよ」
確かにまるっきり悲しくないわけじゃないけれど。
それでも、最近のサクラは前みたいにナルトを毛嫌いしてはいないみたいで、普通の友達みたいに話してくれて。
おしゃべりしてると、時折笑顔だって見せてくれる。
それだけだって、十分嬉しい。
「だからさ、もっと笑ってくれれば、きっとオレももっと嬉しいだろうなって思うんだってば」
たくさんたくさん考えて、多分これなら絶対喜んでくれるだろうと思いついたこと。
すげー趣味悪い、サクラちゃんってば玉にキズ!なんて思うけれど。
『好きな人のことは全部知りたいもんなのよ』
そう言って笑う彼女は、自分が知ってる中で一番可愛かったと思う。
だから、しょうがない。
それに、ナルト自身まったく興味がないわけじゃないのだ。
あのスカした顔の下でサスケが何を考えているのか無性に知りたくなることは、正直言って時々ある。
(だからって、オレがサスケのこと好きなわけじゃないけど!)
何故だか胸のうちで言い訳しながら、ナルトは改めてサスケに向き直った。
「だから早くおまえの好きなタイプっての教えろってばよ、サスケ」
「………ウスラトンカチ」
殆ど吐息のようなサスケの台詞。
けれど、そこには珍しくも馬鹿にしたような響きはなく。
「サスケ?」
どこか途方に暮れたようにすら聞こえるその口調に、ナルトは思わず俯き加減のサスケの顔を覗き込む。
と、意外なほど強い視線が睨みつけてきて一瞬怯んだその時。
「………おひとよし」
「何だとー!」
「違う。聞きてえんだろ、オレの好きなタイプ。一度しか言わないからよく聞いとけ」
「うそ、マジ?!」
びっくりしてナルトは目を丸くした。
実はもう、無理だろうなあと薄々思っていたのだ。
ひどく強情でプライドの高いサスケのこと、ここまで強制されて今更素直に答えてくれるはずはないと。
呆然としていると、サスケはひどく嫌そうな顔をした。
「聞くつもりがないんなら、やめる」
「わー、そんなことないってば。ちゃんと聞くから言えってばよ」
慌てて居住まいを正すナルトにサスケはじろりと一瞥をくれて、いかにもしょうがないと言いたげに口を開いた。
「馬鹿みたいなおひとよしで単純でおせっかい。途方もないおっちょこちょいで何度失敗してもちっとも懲りない。何も考えてないんじゃないかってくらい前向き思考なのが救いと言えば救いかもな」
「ちょ、ちょっと待てってば」
「てめえが言えつったくせに何だ」
「細かすぎだっつーの!」
ナルトとしてはそれこそ全身を耳にして、一言一句もらさずに聞き取ろうと努力していたのだ、一応。
しかしこれだけの情報を息継ぎすら殆どなしに一気に言われたら、とてもじゃないがナルトの脳には容量オーバーだ。
「えっと、馬鹿でおひとよしで単純で………」
指を折って数えながら、ナルトは懸命に思い出そうとする。
けれど、最初のいくつかをクリアした時点で、ナルトはあれっと首を傾げた。
聞いておいてこんなこと言うのは何だけれど。
そういうことに詳しいわけじゃないから、確信もないけれど。
「何かさあ、もしかしてそれって、すっげー変わった趣味なんじゃねえ?」
「………おまけに、鈍感なんだ」
はあ、とサスケは疲れたようにため息を吐いた。
見ているナルトまで同情したくなるくらいしみじみと、それはそれは深いため息を。
「何でこんなに趣味が悪いんだか、時々自分が嫌になる。けど、」
「けど?」
「見てるだけで、救われるような気分になる」
言って、サスケは小さく微笑んだ。
本当に微かな、口の端をほんの少し持ち上げるだけのサスケの笑み。
けれどナルトは、ただ呆然とそれを見つめていた。
だって、初めて見た。
笑っているサスケという存在自体、非常なレア物ではあるのだけれど。
サスケにこんなに優しい顔が出来るなんて、ナルトは想像したことすらなかった。
(ホントに、いるんだ)
唐突にナルトは理解する。
好みのタイプ、なんて曖昧なコトではなくて。
サスケにそんな顔をさせることの出来る相手は、現実にどこかに存在している。
じゃないと、こんな顔できるわけがない。
「何だ、そのマヌケ面は」
だけどその笑みは一瞬で、すぐに仏頂面に戻ったサスケは、ご丁寧にいつもの憎まれ口まで付けてくる。
いつもなら反射的に言い返すナルトだが、あいにく今はそれどころじゃない。
(何だってばよ、これ)
胸が痛い。
最初は微かだったそれは、段々ズキズキと大きくなっていく。
「嬉しくないのかよ」
「え?」
「これでサクラにいい報告が出来るんだろう? おまえのこと誉めてくれるかもな。嬉しくないのか?」
問いかけるサスケに、ナルトは答えることが出来ない。
ちっとも、嬉しくなんかなかったから。
サスケの言うとおり、これできちんと目的は果たせた筈だ。
なのに、全然気分がよくない。むしろ沈み込むばかりだ。
(サクラちゃんじゃないからかな?)
サスケの語った「誰か」は、サクラではあり得ない。
半分も覚えていないけれど、どの特徴もまったく彼女にあてはまっていなかった………と思う。
それを聞いたら、サクラはきっとがっかりするだろう。
そんなサクラは見たくなくて、だから自分まで落ち込みかけてしまっているのかもしれない。
(きっとそうだってば)
ようやく浮かんだ納得できそうな答えに、ナルトは必死に飛びついた。
更には、殆ど無理やりに自分を浮上させてくれそうな要素を拾おうと、必死で頭を回転させる。
サクラは悲しむかもしれないけど、サスケの好きな人がサクラではないということは、少なくとも………。
ズキン。
(あれ?)
治まっていた筈の胸の痛みがまたぶり返して、ナルトは首を傾げた。
今、自分は何に反応したのだろう。
『サクラちゃんは悲しむかもしれないけど』
違う。
『サスケの、好きな人』
「………いてっ!」
途端に走った痛みに、ナルトは思わず声を上げた。
「どうした」
「な、何でもないってば」
「何でもないわけねえだろ、んな声あげやがって。どこが痛むんだ」
ぶんぶんと首を振って否定しても、サスケは納得できなかったようで、言いながらナルトの手首を掴んでくる。
一見無造作に見える仕草は、その実ひどく注意深く、壊れ物を扱うみたいに慎重だ。
「ここには傷はねえな。どっか他のとこか? ったく、また任務中にドジったんだろ、てめえは」
悪態にも何故かそんなに腹が立たなくて、わけもなくやばいかも、と思う。
目を伏せたサスケの顔が思いの外近くに寄ってきて、なんだかますます胸が苦しくなってきた。
冗談じゃなく、このままじゃ本当にヤバイ。
そう思った瞬間、
「だ、大丈夫だから離せってば!」
気が付けばナルトは、思い切りサスケを突き飛ばしていた。
もっとよく考えてから行動しましょう。
幼い頃、それこそ物心ついてからずっと言われ続けてきた言葉。
アカデミー時代はイルカや三代目火影に口を酸っぱくして言われ、下忍になってからはそれにカカシやサクラも加わり、サスケも言葉には殆ど出さないが目線や態度で示していた。
いい加減耳タコ状態で、いつも適当に聞き流していたけれど。
今更ながら、ナルトはしみじみとその言葉を思い返していた。
「…………てめえ」
「…………ごめん」
低い低いサスケの声に、ナルトはひたすらに謝罪の言葉を繰り返す。
日頃はメシを食う時くらいしか隙を見せないサスケだが、今は何故かナルトの怪我(実際にはしていないのだが)に神経を集中しきっていたらしい。
しかも片手には、買い物袋を下げたままで。
買い溜めのつもりか、野菜だの玉子だの米袋だのぎっしり詰まったビニール袋。重量もバランスの取り辛さもかなりのものだ。
そんな所へいきなり渾身の力を込めて突き飛ばされたりしたら。
「いきなり何をする」
「だから、ごめんってばよ」
それでもさすがはNo.1ルーキーというか男の意地というか、サスケ自身は多少ぐらついたくらいですんだけれども、その拍子に手にした荷物の方はあえなく地面に落下してしまった。
激突した瞬間のぐしゃっという音を、できれば聞きたくなかったとナルトは思う。
「えと、買って返すってば」
「別に、いい」
素っ気なく言ってサスケは袋を拾い直した。
中を覗き込んで僅かに顔をしかめたが、そのことについてはそれ以上触れようとはしない。
(うわー、めちゃめちゃ怒ってるかも)
「そんだけ元気なら、怪我も大したことないな」
しょぼんと俯いていると、不意に降ってきた声。
そこには怒りの気配はなく、むしろどこかほっとしたような響きすらあって。
はっとして向き直れば、サスケは背を向けて歩き出そうとしていた。
「待てってば、サスケ!」
咄嗟に。
今度は、ナルトはサスケの服を思い切り引っ張っていた。
勢いでまたしてもバランスを崩しかけたサスケだが、先程よりは速やかに体勢を立て直し、袋もしっかりと抱え込んでいる。
「いい加減にしろっ、ウスラトンカチ!」
しかし、さすがに堪えかねたのか珍しくもサスケは大声で怒鳴り返してきた。
「てめえの質問にも答えてやったし、用は済んだろうが。とっとと離しやがれ」
ぎろりと睨みつけてくる目も顰められた眉も苛立ちを露わにしていて、内心怯みそうになっけれど。
(負けねーってばよ!)
持ち前の負けん気で、思い切り睨み返すと殆ど喧嘩腰でナルトは叫んだ。
「おまえの好きな奴って誰か教えろってば!」
サスケの目が、丸くなった。
いつもスカした態度のサスケが、これ程露骨に感情を表すのは珍しい。
そういえば、今日はサスケの珍しい顔ばかり見ているかもしれない。
その原因が自分だなんてことも忘れて、思わずしげしげと見つめていると。
サスケは不意に顔を歪めて、すっと表情を引っ込めた。
そうすると、途端にいつもの無表情。
「何でそこまで言わなきゃいけないんだ」
「だって、知りたいんだってばよ」
「知ってどうする」
切り返されてナルトはうっと言葉に詰まる。
ナルト自身、何でこんなことを聞いてしまったのか分らなくて、実の所ちょっぴり困っていたのだ。
サスケに誰か好きな人がいるんだと確信したのはついさっき。
それから何故か妙に混乱してしまっている自覚はあるけれど。
答えられずに黙っていると、サスケはますます顔を顰めた。
「それも、サクラに教えるのか」
「違うってば」
吐き捨てるような言葉に、ナルトは反射的に首を振る。
本当に、サクラに教えるつもりはなかった。
サスケの好きな人は多分、自分達の知らない誰かで、そんなの聞いてもサクラが喜ぶ筈はない。
だからこの問いはそんな理由からではなく、正直に言うとサクラのことは頭の端を掠めもしなかった。
ただ、
「オレが知りたいだけだってば。何でか分らないけど、すっげーすっげー気になるんだってばよ」
それだけだ。
サスケの好きな人が、気になって気になってどうしようもない。
本当はちょっぴり聞くのが怖いような気もするけれど、このままじゃきっと夜も眠れなくなりそうで。
だから、知りたい。
ちろりとサスケを見上げれば、いつの間にか怒った気配は消えていた。
代わりにあるのは、呆れたようなそのくせどこか困ったような、なんとも判別しにくいもの。
不思議に思って視線だけで問いかければ、サスケは大きくため息を吐いた。
「………この、ウスラトンカチ」
「何だと、このー!」
「だからてめえは鈍いっつーんだ」
こつんと額を小突かれる。
それはごく軽く弾いた程度のもので、ちっとも痛くなかったけれど、ナルトはびっくりして目をぱちくりさせた。
けれど、問いかける暇もなく。
「サ、サスケ?!」
サスケはぐいとナルトの手首を掴むと、引っ張るように歩き出した。
「どこ行くんだってば!」
「オレんち」
「はあ? 何でおまえんち………つーか、おまえまだオレの質問に答えてないってば! ごまかしてんじゃねーぞ!」
「ごまかしてねえ。家に着いたら教えてやる」
「だから何でおまえんちに行かなきゃいけないんだってば」
ぴたりとサスケの足が止まる。
早足のサスケに引きずられて、つんのめるように後をついて来てたナルトは、勢い余ってサスケの背中に顔をぶつけてしまう。
けれど文句を言う暇もなく、振り返ったサスケはナルトの鼻先に、スーパーの袋をぐいと突き出した。
それは、先程地面に落としたせいで薄汚れていて、破けている箇所すらあって。
「今日、玉子の特売だった」
産地直送新鮮玉子1パック10個入り58円。
オバサン達の間を縫ってようやくゲットした本日の目玉商品は、だがしかし。
「さっきので全部割れちまった。責任取っておまえ、片付けるの手伝え」
「片付けるって、掃除すんの?」
そりゃ自分のせいだし、手伝うのはやぶさかではない。
ないけれど、割れた玉子を捨てるだけのことで、何か手伝うことがあるのか。
首を傾げていると、サスケがあっさり否定した。
「違う。割れたつってもひびが入っただけだから、捨てる程じゃない。けど、今日中に使い切らなきゃまずいし、いくら何でも1パックを一人で食うには無理がある。だから、手伝え」
「えーっと、それって」
うーんとナルトは考える。
サスケの言い方は、時々ひどくややこしくて面倒くさい。
けれど、今回は明らかに自分に非があるので、ナルトは一生懸命考えた。
買ったばかりの玉子が全部ひび割れてしまって。
今日中に全部使ってしまわないと傷むけれど、何しろ物は玉子10個。
一人で食べ切るには色々な意味で無理がある。
それを手伝えということは。
(要するに、サスケんちに行って一緒に玉子……ってゆーか晩ご飯食べろってことだってば?)
そうしたら、サスケの好きな人も教えてくれるらしい。
ついでに言えば、サスケのご飯はとても美味しい。
(なーんだ、いいことばっかじゃん)
「行く行く行くってばよー」
「じゃあ行くぞ」
こくこくと勢いよく首を振るナルトに、サスケも満足そうに頷いた。
「ところでさあ、サスケいつまで手ぇ握ってんの?」
張り切って歩き出したはいいけれど、いつまでも掴まれたままの手にナルトは当惑を隠せない。
「嫌か」
「別にヤじゃないけど」
(サクラちゃん、怒るだろうなあ)
怒ったサクラはとっても可愛いけどとっても怖い。
それに、こんな格好で往来を歩くのも正直恥ずかしい。
「じゃあいいだろ」
しかし、さらりと言われた上に、サスケの手は離すどころかますます強く握りしめてくる。
指を絡めるように繋いだ手と手。
冷たいのかと思っていたら意外と熱くて、少し汗ばんでいるサスケの手のひら。
確かにイヤじゃない。気持ち悪いとも思わない。
むしろ楽しい。それとも、嬉しい?
恥ずかしさよりも、サクラに怒られることよりも、その気持ちの方が強かった。
(でもサスケの好きな人に見つかっちゃってもマズイのかな)
ふと思い浮かんだことに、また胸がちくんとしたけれど。
気のせい気のせい、とナルトはぶんぶんと首を振った。
「サスケんち行ってメシ食ったら、好きな人教えてくれるんだよな?」
これだけは確かめなければと、勢い込んで尋ねれば、意外な事にサスケはすんなり頷いた。
「分ってる。おまえこそ後でやっぱいいつっても聞かないからな」
「あったりまえだってば。男に二言はないってばよ」
「その言葉、忘れるなよ」
言って、サスケがにやりと笑う。
それはさっきの優しい微笑とはまったく違うもので、はっきり言えば、まるで何か企んでいるようなあまりいいカンジのしない笑い方で。
(でも、こっちの方がサスケらしい気がするってば)
何故だか安心したような気持ちになって、ナルトはにぱっと笑い返した。
「…………こうなったら、一気にカタつけてやる」
低い呟きの意味は、やっぱりよく分からなかったけれど。
ゲームの二次創作サイト巡りが結構好きです。特に恋愛EDがある系のノーマルカップリング物が好き。
なんつーかあれって、お約束てんこもりじゃないですか。私の中の少女漫画魂をいたく満足させてくれるのです。
特にお気に入りは、と○メモGSの葉月EDとファ○タ無印のメイ中心。どっちも未プレイなんですが。
で、今回はと○メモです。某サイト様の葉月王子の台詞集見てたら、すっげーサスケに言わせたい!的な台詞があって、とうとう使ってしまいました。でも、前後の状況は適当です。ほんっとーにこれっぽっちもプレイしてませんから(笑)。
使いたくて使えなかった台詞がまだあるので、そのうちまたやっちゃうかもしれません。
戻る