止まった時計(DISTANCE-10)
怒らせて、ケンカばかりして、泣かせちまって。
火影になりたいなんて夢をもって、まっすぐ歩いてるお前に、
俺は復讐者だ、そういってしまう自分ではきっと釣り合わないと思って。
サクラちゃんが好きだってばよ。
サクラちゃんと付き合うかも。
そういって、じっと見たお前。
あの時に背を向けたのは自分。
惚れた女と一緒なら幸せだろうと、突き放したのは俺。
だけど、選んだのはお前。
だから、もっと幸せそうにしてろよ。
これ以上ないくらい嬉しそうに笑っていろよ。
俺なんか要らないって言えるほどに、
俺がいたことさえ忘れてしまえる位に。
そうでないと。
「サスケ、これなんだけどさ・・・」
任務中、以前と変らずに、俺に尋ねてくるお前。
近くにくると、嫌でも目に入る。
首筋の痣。胸元の爪あと。手首に縛らせた跡。
すう、っと自分の中で何かが引いていくのがわかる。
「サスケ?」
見上げてくるその目は変わらないのに。
「いいもん付けてんじゃねえか。」
「え。あ。・・・そう?」
「サクラとうまいことやってんだ?」
「あ、え、・・・・・まあ。」
曖昧な顔で言葉を濁す。
お前が幸せなら、と。
ぎり、と音がするほどの強さで腕を掴む。
「いた、いたっ、痛いってば!サスケ!」
お前が笑っているなら、と。
締め付ける腕は尚も強く。
「痛いって!何すんだよ!サスケ!」
それで、よかったはずだろ?
「・・・こんなんじゃ、痣もできやしねえよ・・・」
「・・・サスケ・・?」
いまさら
サクラがお前に印す痣。
紅く暗く血の固まる色。
「・・・・どうして・・・」
どうしてこんな。
「何いきなり怒ってんだよ!」
「知るかよ!」
信じられないほど暗い、こんな感情は、知らない。
「離せって!」
身をよじって逃げようとするから、両手首を捻り上げて。
印なんか結べないように、きつく指を絡めて。
「サス・・!」
「サクラにも、そんな目、するんだ。」
そうやって、泣きそうにしてる?
「お願い、してみろよ。」
「やめろって・・!」
そのまま、後ろの木にナルトの体を押し付けて、
唇を奪う。荒く。
「・・・やっ・・サス・・!」
弄るように。
「・・・サス・・」
だんだんと抵抗が弱くなって、力が抜けて。
それすらも許せなくて。
とん、と突き放すと、力なく座り込む。
「ホントに誰でもいいんだ、お前」
「・・・・」
「最低」
一瞬凍りついて、分からないって目で見て。
「サスケ、・・・サクラちゃんのこと好きだったの?」
「・・・何?」
「サクラちゃんのこと好きだから、俺のこと許せないの?」
理解不能の状態から、一気に脱力する。
は、と漏れたのは、溜息交じりの嘲笑。
まさかここまでウスラトンカチだなんて思いもしなかった。
男同士だから、なんてことが理由にならないくらい
俺がお前を好きだってことさえ、こいつには分かっていないなんて。
「だから、口きいてくんなかったり睨んだりすんの?」
「・・・違う!」
「じゃあ、なんで!お前こそ、サイテーだってばよ!」
そういうと立ち上がって、泣きながら走り去った。
「・・・なんで・・・」
あいつの笑った顔が好きだった。
幸せなら、と手を離して。
その選択が間違っていたはずはないのに。
「―――――・・・!」
どうしようもなくて。
思いはどこへもいけなくて。
心の中の時を止めたまま。
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