元気を出して(DISTANCE-15)



部屋に帰って、枕をかかえてベットに突っ伏していた。
生まれて初めての、恋の、初めての、失恋だもん。
・・・そりゃ、ずっと、片想いだったけどさ。
今日一日、泣いちゃうんだ。

「なあに、ひたってんのよー、らしくないわねー。」
「いのぶ・・・!」
部屋の入り口。ドアにもたれかかって、あきれ顔のいの。
「・・・どうやって入ったのよ。」
今日は1人でゆっくり泣きたいのよ。でてけ、無神経女!
「決まってんじゃない。あたしはくのいちよ?」
「・・・いの、あんた・・!」
「おばさんに挨拶しておじゃましますっていって、玄関から入ったのよ。
とーぜんじゃない。」
がっくり、と力が抜けた。この女、一体何しに来たのよ。
「はい!これ。」
「なによ、いの。」
大きな包みからでてきたのは、大福にどら焼きにようかんにチョコレート
ケーキに・・・甘いもののオンパレード。
「・・・?」
「ふん、あんた、これみてわかんないの?」
「・・・サスケ君のきらいなもの。」
「そ!差し入れ。一緒に食べようと思ってさ。」
「いのぶー、アンタ・・・こんなに・・・ぶたになるわよ・・。」
「出てるとこ出てりゃいいのよ。
食べないってんならあたし1人で食べちゃうからね。」
「誰も食べないとは言ってないわよ。」
二人で黙々と食べる。
お母さんが飲み物を持ってきてくれて、
ちょっとびっくりしたようだったけど、何も聞かなかった。
いのと2,3言、世間話して、出て行く。
胃の中が気持ち悪くなるくらい食べて。
「・・・いのさあ、なんでわかったの?・・・振られたって。」
「アタシはなんでもわかるの!大体アンタだけじゃないでしょ。
あたしもなんだから。」
「だね。」
「だから、ちゃんと付き合いなさい!」
「はあい。」
いのちゃんが、優しくて涙が出た。
「あんた、泣くと余計ブサイクなんだからね!」
「いのぉ・・・!」
「まあ、今日はブサイクでもいいけどー?
ちゃんと、おでこだして、笑ってなって。」
「・・・」
「あんたはまだいいわよ、あたしなんか、振ってもらうこともできなかった・・」
「・・・いのちゃん・・」
「あー、あたしも一発殴っておけばよかったー!!
あんた殴ってくれてて、よかったわ。」
「うん、実はすっきりした。」
顔を見合わせて笑う。

もう、一日泣いて暮らそうと思ってたのに。
ホントはいのもつらいはずなのに。
苛められてたあたしに手を差し伸べてくれて、仲良くしてくれて、
アタシから絶交したのに、こうやって。

いっつも、いのは優しい。
サスケ君も、ナルトも。

アタシだけ、嫌な子だった。
いくらでも優しくなれたはずなのに。
でもきっと、あしたからでも遅くなんかないよね。

「いのぉ・・・あんがとぉ・・」
「あんた、泣くか食べるかひっつくかどっちかにしなさいよー!」




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