つぶやきの音符(DISTANCE-9)



(これで大丈夫かな?)
いつもなら3回折り返す袖、今日は1回。
ズボンも。
(これなら、みえないよね?)
手首と足首に、縛られた痣。
怪我ならばすぐに消えるけど。
痣となるとやはりすぐ、というわけではなく。
それに、ちょっと痛い。

どうして、サクラちゃんはこんなことするんだろう。
分からない。

「私だけのあなただから。それを確かめたいだけ。」

サクラちゃん、俺ね。サクラちゃんが喜ぶなら何だってしてもいいよ。
だけど、辛そうな、泣きそうな、そんな顔してるのはなぜ?

笑ってるサクラちゃんが好き。
怒ってるサクラちゃんが好き。
泣いてるサクラちゃんは、早く元気になって欲しい。
なんだってするよ。
なんだってできるよ。
だけど、それじゃ、駄目なのかな。


サクラちゃんを笑わせてあげることが、できない自分が悲しい。
「好きなだけじゃ、駄目なのかな・・」
好きっていってくれる誰かを、好きになれると思ってた。
抱きしめてくれる人を抱き返せれば幸せだと思っていた。
なのに、どこまで好きって言っても、辛くなるのはなぜ。
思っていたのと違うのはなぜ。
好きになれてる筈なのに、俺ってばだめなのかな。
九尾が入ってるから?
里一番の嫌われ者だから?
親がいないから?
ドベだから?
だから、誰からももらえない愛なんて、分からなくて当然?
そんなことないよね。
「甘えられればおまえはだれでもいいんだろ。」なんていったのはサスケ。
違うって思ってたけどホントにそうなのかな。
そういう奴だから、サスケ俺のこときらいだったのかな。
最近なんか、ホントに口もきいてくれないし。
ギロって睨んで、喋るのは任務のことだけ。
それともサスケって、ほんとはサクラちゃんのことすきだったのかな。
だから、俺のこと憎らしくてあんな目で見るのかな。
・・・・あいつなんか、どうでもいいってばよ。
あいつがしゃべってくれないからって、俺、辛くなんかないってば。
・・・泣くなんて、ヘンだってばよ。

ごしごし、と、涙を拭って。はあ、と溜息をついて。
もう一度鏡を見る。
胸元と首筋は隠しようがないし。
思いっきりパン、と両ほほをたたいて、気合を入れる。
「ダイジョーブ!今日も元気だってばよ!」
辛いことなんて、ないことにしちゃおう。
見えないように隠してしまえば、だれにも分からない。
いつだってそうしてきたし。
それに、今って、サクラちゃんと付き合ってて。


「・・・・幸せじゃないとおかしいんだってば。」



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